From Editor(編集部からのお便り)

マイナーで流転している大器

 ブルワーズのマイナーにマット・ラポータという外野手がいる。大学時代に強打で評判となり、2007年のドラフト全体7位指名でプロ入り。今シーズンは2Aで開幕を迎え、5月6日時点で31試合に出場し、本塁打10本、打点36、打率.342、OPS1.157と猛打爆発。すでに2度もリーグの週間MVPに輝いている。これほどの打撃を披露すれば、メジャー昇格も時間の問題となりそうなものだが、彼には一つ大きな障害がある。それは守るところがないということだ。
 大学時代は一塁手だったラポータだが、ブルワーズにはプリンス・フィルダーがいるため、プロ入り後にレフトに転向。1985年生まれのラポータと84年生まれのフィルダーの同世代同士を競わせることは、チームにとってプラスにならないと判断されたからだ。
 しかし今シーズンは状況が変わった。昨シーズンの新人王ライアン・ブラウンがサード失格の烙印を押され、レフトにコンバートされたからだ。それによりブルワーズはラポータをライトへコンバートした。ブラウンも83年生まれとラポータと年が近い。こうしてラポータはプロ入り1年以内に2度のコンバートを余儀なくされたことになった。
 それではライトならメジャーでレギュラーになれるかと言えば、それもまた簡単ではない。ライトを守るコリー・ハートは、フィルダーやブラウンと比べればくみしやすい相手かもしれないが、それでも彼らと中軸を打つ5番打者。昨シーズンは24本塁打、23盗塁を記録していて、今シーズンも5月6日時点で打率.303と結果を残している。しかも、ハートも82年生まれとラポータと年が近いのだ。
 ブルワーズとしては、ラポータをメジャーに昇格させ、彼らと一緒に出場させたいところだろう。そうなると、またコンバートを余儀なくされるのだろうか? しかしプロ入り以来盗塁ゼロと脚力がないラポータが、センターに移るのは考えにくい。一塁手以外の内野も考えられるが、外野から内野へのコンバートは現実的ではない。
 そこで考えられるのは、脚力のあるハートにセンターに移ってもらって、ライトで出場すること。ただ、それも今すぐにとはいかない。と言うのも、センターが名手のマイク・キャメロンだからだ。キャメロンは1年契約なので(来シーズンは球団オプション)、ラポーターが打撃をアピールし続ければ、来シーズンならレギュラー獲得も夢ではないだろう。しかし、キャメロンのオプションが行使され、フィルダー、ブラウン、ハートも元気だった場合は、ラポータの出場は難しい。
 若くて優秀な選手が揃うのはチームにとってうれしいはずなのに、ポジションが重なるとそうは言ってられないようだ。(タ)

次回更新は5月14日(木)です。




オーウィングスが投手としては4年ぶりの代打本塁打!

 現地4月30日、ダイヤモンドバックスのマイカ・オーウィングス投手がアストロズ戦の6回に代打で起用され、5対7の劣勢をはね返す同点2ランを放ちました。その直後に追加点が入り、試合は8対7と逆転勝ち。ダイヤモンドバックスは両リーグ最速の20勝(8敗)到達と、まさにオーウィングス・デーとなりました。ちなみに、投手の代打本塁打は2004年4月22日に、二刀流として鳴らしたブルワーズのブルックス・キーシュニックがダイヤモンドバックス戦で記録して以来のことです。
 オーウィングスはメジャー2年目の25歳。昨シーズンは29登板中27試合で先発し、本業では8勝8敗、防御率4.30と際立った成績ではありませんでしたが、打撃では60打数で4本塁打、15打点、打率.333と猛威を振るい、シルバースラッガーを受賞しました。今シーズンは本業でも5先発して4勝0敗、防御率3.48と好調。それに輪をかけているのが打撃で、この日の代打本塁打により19打数8安打、打率.421というものすごさです。2年間の通算OPS(出塁率+長打率)1.044は、75打席以上では下表のように歴代5位! 投手から打者に転向したベーブ・ルースを彷彿させ、「ルース二世」との声も上がっています。

<通算OPS歴代トップ5>
ベーブ・ルース1.164
テッド・ウイリアムズ1.116
ルー・ゲーリッグ1.079
バリー・ボンズ1.051
マイカ・オーウィングス1.044

 私も草野球では好打者と自負していますが、残念ながら長打力はまったくありません。オーウィングスにあやかれれば最高なのですが。(は)

次回更新は5月8日(木)です。




新たな有望株がメジャーデビュー

 4月24日(現地)、レッドソックスのジャスティン・マスターソンがメジャーデビューを果たしました。エンジェルス戦に先発し、6回を投げて4四球を与えたものの、被安打2、4奪三振、1失点。勝ち星はつきませんでしたが、「彼のことを誇りに思う。これ以上望むべくもないほどの投球だった」とセオ・エプスティーンGMに言わしめるほどの好投でした。
 マスターソンは、2006年のドラフト2巡目(全体71位)でサンディエゴ州立大からレッドソックス入り。198cmの長身から繰り出すシンカーは「マイナー最高級」とも言われています。今季、マイナーでは、2Aポートランドで4試合に投げ、1勝0敗、防御率0.95という成績でした。レッドソックスでは、ジェド・ロウリーに続いて今季2人目の生え抜きメジャーデビューとなります。マスターソンは試合後、即マイナーへ降格しましたが、これは当初の予定通り。昨季のクレイ・バックホルツ同様、夏場〜終盤戦にかけての秘密兵器になる可能性は十分あると言えます。この日、レッドソックスは逆転負けを喫しましたが、球団首脳も地元ファンも大きな希望を抱いたはず。
 02年11月の就任以降、マイナー組織の強化を掲げてきたエプスティーンGM。その果実が、ここ2〜3年で大きく実っています。今やメジャー屈指のクローザーに成長したジョナサン・パペルボン、昨年、新人王に輝いたダスティン・ペドロイア、新人ノーヒッターをやってのけたバックホルツなど、毎年のように生え抜きの若手が登場するようになりました。
 24日試合開始時点の25人ロースターのうち、9人が生え抜き選手(ジョン・レスター、マニー・デルカーメン、ケビン・ユーキリスを除く6人は、エプスティーン就任以降の入団)。ちなみにマスターソンと入れ替わりでマイナーに降格したクレイグ・ハンセンも05年のドラフトで入団した生え抜きです。
 今も年俸総額1億ドルを超えるビッグクラブであることに変わりはありませんが、その一方で、マイナーからじっくり育て上げる戦略が奏功していることがよくわかります。王朝構築へ向けて視界は良好といったところでしょうか。(イ)

次回更新は5月1日(木)です。

<今季メジャーでプレーしたレッドソックス生え抜き選手>
■投手
ジョナサン・パペルボン(2005)
マニー・デルカーメン(2005)
クレイグ・ハンセン(2005)
ジョン・レスター(2006)
デビッド・ポーリー(2006)
クレイ・バックホルツ(2007)
ジャスティン・マスターソン(2008)
■野手
ケビン・ユーキリス(2004)
ダスティン・ペドロイア(2006)
ジャコビー・エルズベリー(2007)
ブランドン・モス(2007)
ジェド・ロウリー(2008)
( )はメジャーデビュー年



10勝到達一番乗りは吉兆?

 4月15日にダイヤモンドバックスとカージナルスが、今シーズンのメジャー10勝一番乗りを果たした。ダイヤモンドバックスは前評判が高かったので驚きはしないが、戦力の低下を予想されていたカージナルスのスタートダッシュには驚いた人も多いはずだ。
 ところで開幕からの好スタートは、ペナント奪取に結びついているのだろうか?

<過去5年の10勝一番乗りチーム>
07年 ドジャース
06年 メッツ
05年 ドジャース
04年 マーリンズ、ドジャース
03年 ジャイアンツ

 このなかでプレーオフに進出したのは、06年のメッツ、04年のドジャース、03年のジャイアンツと6チーム中半数の3チーム。逆にシーズン最後で負け越していたのは05年のドジャースだけだ。やはり開幕ダッシュは、シーズンの行方にある程度影響を与えることがわかる。ただ、プレーオフに進出した3チームは、いずれもワールドシリーズまで辿り着けなかった。

 それでは世界一に輝いたチームの開幕からの成績はどうだったのだろうか?

<世界一に輝いたチームの10勝到達時の負け数(過去5年)>
07年 レッドソックス 5敗
06年 カージナルス 6敗
05年 ホワイトソックス 4敗
04年 レッドソックス 6敗
03年 マーリンズ 11敗

 10勝一番乗りは果たしてないものの、マーリンズを除いて、なかなかの好スタートを切っていることがわかる。そう考えると、決して10勝に一番乗りする必要はないけれど、それなりのスタートダッシュを決めることが望ましいのかも知れません。(タ)

次回更新は4月24日(木)です。




タイガースの開幕からの連敗が7でストップ

 現地9日、タイガースの開幕からの連敗が7でようやくストップしました。アスレチックスとの日本開幕シリーズでも先発したレッドソックスのジョン・レスターを攻略し、7対2で快勝。オフにミゲル・カブレラ、エドガー・レンテリアらを補強して「リーグ最強打線」との呼び声が高かったにもかかわらず、それまでの7試合では計15点しか取れていませんでした。
 開幕前は地区優勝候補筆頭と思われていましたが、まさかの7連敗スタート。ジム・リーランド監督は「驚いたかって? もちろんさ。でも、まだたくさん試合が残っているからね」と連敗ストップにほっとした様子でした。ちなみに、開幕7連敗からプレーオフに進出したチームはありません。プレーオフに進出したチームの開幕最多連敗は、1974年のパイレーツと95年のレッズの6です。そんな不吉なデータをタイガースは打ち破れるのでしょうか。リーランドは「どのチームもやったことはないが、シーズンは162試合ある。それは事実だ」と語っています。私も同じ意見です。その理由は2つあります。第1は、地区内で最大のライバルと目されているインディアンスもここまで4勝5敗ともたついていること。第2は、開幕前に右手を骨折したリードオフのカーティス・グランダーソンがこの日から練習に加わったことです。
 グランダーソンは昨シーズン、殿堂入り選手のウイリー・メイズ以来50年ぶり、史上3人目の同一シーズン20二塁打&20三塁打&20本塁打&20盗塁の偉業を成し遂げました。キャラクターも明るく、彼が復帰すればチームのムードが上がることは間違いありません。我が愛する阪神と同じチーム名のタイガースが、グランダーソン復帰とともに阪神同様、波に乗ることを信じています。(は)

次回更新は4月17日(木)です。




ジャイルズの心変わり

『ロサンゼルス・タイムズ』紙によると、4月1日(現地)、3月末にロッキーズを解雇された元オールスター二塁手のマーカス・ジャイルズが、いったんドジャースとマイナー契約を結びながら、その日のうちに契約を破棄するという珍しい“事件”がありました。ノマー・ガルシアパーラ、アンディ・ラローシュと正三塁手候補が次々に故障したドジャースは穴埋め候補としてジャイルズに目をつけ、3Aで1〜2週間ほどテストするつもりで契約をオファー。ジャイルズもこれに合意し、アリゾナの自宅(『ロサンゼルス・デイリーニューズ』紙はサンディエゴと報道)からドジャースの3Aチームがあるラスベガスへ向け車で出発したものの、途中で心変わりした模様です。「自分のやりたいことじゃないと思ったようだ。彼は自分を三塁手だと思っていない」とは代理人のジョー・ビックの弁。旅の途中でジャイルズの心境にどんな変化があったのか興味深いところですが、いずれにしてもこの一件で今後のキャリアに大きな支障が出ることは確実でしょう。このまま引退するのでは? とも言われています。2003年に打率.316(リーグ8位)、OPS.916の好成績を残したジャイルズはまだ29歳。本誌のプレーヤーズ・ランキング(08年版は4月24日発売の6月号で!)でも、05年が5位、06年が2位、昨年も7位と高い位置につけていたのに……。ここまで急激に力が落ちた原因はどこにあるんでしょうか? (イ)

次回更新は4月10日(木)です。




上原のもっともな発言

 レッドソックスとアスレチックスの日本開幕シリーズが終了しました。
 私も球場に取材に行ってきたのですが、日米のファンが一緒になって球場内で盛り上がっていて、とてもいい雰囲気でした。
 今回の両チームの選手やスタッフの方たちには、長時間のフライトや時差ボケに耐えて来てもらって、いいプレーをしてもらったので、何の文句もありません。ファンサービスや取材にもとても協力的だったので感謝しているほどです。
 そんななか、看過できない出来事がこのシリーズ中にありました。
 公式戦の前日と前々日に行なわれた読売と阪神とのオープン戦の後に、読売の上原浩治選手が発したコメントです。後に自身のホームページでも書いていました。
 そのコメントは「パ・リーグが開幕してるのに、メジャーの開幕戦が同じ日本で開催されるのはおかしい。日本でメジャーリーグを見られることは素晴らしいことだけど、でも何でこの時期なの? シーズンの開幕に照準を合わせて、一生懸命に練習してきたパ・リーグの選手たちが、この催しで消されてしまうのはどうなんだろう。だから、正直、今回のオープン戦は複雑な気持ちでマウンドに上がった」というものです。
 コメントの真意は、メジャーリーグが問題だと言うのではなく、日本プロ野球界の問題だということのようです。
 確かにマスコミはパ・リーグより明らかに大きな扱いでメジャーリーグを取り上げていました。これでは、確かにパ・リーグの選手はたまったものじゃありません。
 今回の問題は、日本のプロ野球界側が、パ・リーグの開幕をセ・リーグと同様に、メジャーリーグの開幕シリーズが終わってからにすれば、よかっただけだと思うのですが、どうしてしなかったのでしょうか。腑に落ちません。
 ちなみに今回来日したレッドソックスの松坂大輔も「できることなら日本の試合と別の日にやりたかった」とコメントしていました。
 メジャーリーグの世界戦略が物凄い勢いで進んでいるなか、これからもこういった日米の野球摩擦が増えてくると思います。そんななかでもメジャーリーグと日本プロ野球が共存共栄できる関係になることを期待しています。そのためには日本プロ野球がもっと組織として力をつけることが必要だと思います。
 また、上原は「攻撃する時と守備の時にメジャー球と日本球を使い分ける。メジャーの選手はメジャー球で守るし、日本のチームは日本球で守る。同じ野球なのになぜ? って言いたくなる。サッカーは国によって、ボールを変えないのになぜ?」ともホームページでコメントしています。
 この点はすぐにでも取りかかってもらいたい問題ですね。(タ)

次回更新は4月3日(木)です。




来日メンバーのなかにいるのは

 本日、レッドソックスとアスレチックスの来日メンバー各28人が発表になりました。事前の報道通り、レッドソックスではエースのジョシュ・ベケット、アスレチックスでは三塁手のエリック・チャベスがメンバーに入らず。また、レッドソックスとマイナー契約をしたバートロ・コロンも来日しません。

 そんななか、アスレチックスの28人には2人のベテランの名前が。それはマイク・スウィーニーとキース・フォルクです。

 スウィーニーは元ロイヤルズの顔。13年間ひと筋にプレーしたチームから実質上お払い箱になり、アスレチックスとマイナー契約しました。一方、フォルクは昨年2月に引退したものの、今オフに現役復帰を表明。2003年にはアスレチックスでセーブ王となり、その翌年にはレッドソックスで、ワールドシリーズ優勝の瞬間、マウンド上に立っていました。

 ご存じのように、アスレチックスは再建モードの真っ最中。それだけにまだ無名の若手選手を初めて見るのも楽しみですが、彼らベテラン2人が、日本で復活のスタートを切るのか、それにも注目したいと思います。(う)

次回更新は3月27日(木)です。




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